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特集 ゲノムの構造
反復配列DNAの構造
著者: 榊佳之1
所属機関: 1九州大学医学部遺伝情報実験施設
ページ範囲:P.278 - P.282
文献購入ページに移動 ゲノム,即ち生物が増殖し,子孫を生み出し,種を維持するために必要な遺伝情報のセットは最小のウイルスでは数千塩基対(bp)程度であるが,ヒトでは約30億bp,両生類の特殊なものではヒトの更に10倍にも及んでいる。このような莫大な塩基配列の中には多種多様の構造遺伝子,それらの発現を適切にコントロールする調節遺伝子(または調節配列),ゲノムの複製や分配に関与するシグナルなどの様々な機能情報が刻み込まれている。一方,ゲノムの塩基配列全体を機能的な意義付けとは別にながめて見ると,そこには何度もくり返し出現する反復配列と呼ばれる特色的な集団の存在が明らかとなった。この反復配列は複雑なゲノムが成立してきた過程を知るための一つの重要な鍵であり,またゲノム全体を取り仕切る調節機構との関連からも興味深い研究対象となりつつある。ここでは誌面の制約もあるのでヒトゲノムの反復配列の構造と構成を中心に話を進めたい。
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