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特集 ゲノムの構造
偽遺伝子の構造
著者: 瀧原義宏1 服巻保幸1
所属機関: 1九州大学医学部第1生化学教室
ページ範囲:P.283 - P.287
文献購入ページに移動 偽遺伝子は機能をもった遺伝子とよく似た構造をもちながら,活性のある産物を作ることのできない遺伝子と定義され,最初アフリカツメガエルの卵母細胞中に発現される5S RNAの遺伝子の中に見出された1)。その後,このようなRNAの遺伝子についてだけではなく,蛋白質をコードする遺伝子についても偽遺伝子が続々と報告され,現在までに40種以上にも及んでいる2)。偽遺伝子はその構造から推測される生成機構によって大きく二つに分類することができる。一つは機能遺伝子から遺伝子重複によって生じ,進化の過程で偽遺伝子となったものである。もう一つは加工された偽遺伝子(processedpseudogene)と呼ばれるものである。加工された偽遺伝子においては,介在配列(イントロン)が正確にぬけ落ちており,あたかも成熟したメッセンジャー RNA(mRNA)が逆転写されてできたような構造をもつ。本稿では,この2種類に大きく分類される偽遺伝子について,その構造とそれから推測される形成機構について述べ,その機能についても若干考えてみたい。
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