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文献詳細

雑誌文献

生体の科学35巻4号

1984年08月発行

文献概要

実験講座

ムスカリン性アセチルコリン受容体のアフィニティークロマトグラフィー

著者: 芳賀和子1 芳賀達也1

所属機関: 1浜松医科大学生化学第1講座

ページ範囲:P.296 - P.303

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 ホルモンまたは神経伝達物質の受容体の量は一般に少なく,標識リガンドを用いた結合実験の示すところによれば,0.1〜1pmol/mg膜蛋白質の程度である。受容体の分子量は5万から25万の間にあるが,10万と仮定すると10〜100μg受容体/g蛋白質となり,1万倍から10万倍の精製により,単離される。1mgの受容体を得るためには,回収率100%と仮定して10〜100gの膜蛋白質,すなわち100〜1000gの組織が必要ということになる。高い精製倍率が要求されるに従い必要なステップは増えるので,実際の回収率はずっと減少する。また可溶化や精製中の失活の可能性が多いことを考えると,この10倍程度の組織量が必要となる。ごく大雑把にいうと,10kgの組織から1mgのものを分け取るということになる。
 そこで非常に特異的な精製方法が不可欠といえる。現在二つの方法が可能である。一つはホルモンまたは伝達物質との結合部位の特異性を利用するもので,その部位に親和性の高い化合物をリガンドとしたアフィニティークロマトグラフィーを使う方法である。他の方法は抗体の特異性を利用するものである。モノクローナル抗体を調整する方法を使えば,未精製標品を抗原として特異的抗体を得て,抗体をリガンドとしてアフィニティークロマトグラフィーで受容体を精製することが原理的には可能である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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