文献詳細
文献概要
実験講座
電気的刺激による細胞融合法
著者: 岡田泰伸1 少作隆子1
所属機関: 1京都大学医学部第2生理学教室
ページ範囲:P.378 - P.383
文献購入ページに移動 細胞融合法は遺伝子工学,細胞工学の分野で大きな威力を発揮していることは一般にも広く知られている。このような操作技術としての華やかさの陰にかくれて,生体内においても自発的に細胞融合が発生している事実およびその重要性は見逃されがちである。筋肉や胎盤上皮の合胞体細胞の形成,破骨細胞や線維芽細胞などにおける多核細胞の形成,腫瘍細胞と宿主細胞の融合などのように細胞融合は生理的あるいは病理的条件下において見られる生体内現象である。また,この基礎過程としての膜融合は,分泌・エンドサイトシス・受精や,ウイルスによる細胞感染などの生理的および病理的現象に根底から関わっている。従って,細胞融合・膜融合現象の素過程の解明は,より簡便かつ高収率の細胞融合法の開発に劣らず重要である。
最近,密着させた細胞間にパルス通電を行うことにより細胞融合が発生することが見出された。この電気的融合法は,新しい細胞融合技術としてのみならず,融合メカニズムの解明にも新しい手がかりを与えてくれるものとして注目されている。細胞外からのパルス通電による細胞融合を報告した最初の論文は,干田貢らによって著わされた1)。2本の微小ガラス管電極によって2個のプロトプラストを密着させた上で,これらを通じて細胞外より高電流パルスを与えることによって融合が実現された。
最近,密着させた細胞間にパルス通電を行うことにより細胞融合が発生することが見出された。この電気的融合法は,新しい細胞融合技術としてのみならず,融合メカニズムの解明にも新しい手がかりを与えてくれるものとして注目されている。細胞外からのパルス通電による細胞融合を報告した最初の論文は,干田貢らによって著わされた1)。2本の微小ガラス管電極によって2個のプロトプラストを密着させた上で,これらを通じて細胞外より高電流パルスを与えることによって融合が実現された。
掲載誌情報