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文献詳細

雑誌文献

生体の科学35巻6号

1984年12月発行

文献概要

特集 細胞毒マニュアル—実験に用いられる細胞毒の知識 神経系に作用するもの 神経終末作用薬

テタヌストキシン

著者: 松田守弘1

所属機関: 1大阪大学微生物病研究所抗酸菌生理学部門

ページ範囲:P.443 - P.445

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 ■特性
 テタヌストキシン(Tetanus toxin,破傷風毒素)はグラム染色陽性の嫌気性芽胞形成桿菌である破傷風菌Clostridium tetaniが産生する蛋白毒素で,神経毒である。テタヌス(Tetanus,破傷風)は,毒素性感染症(toxiinfection)の典型の一つであり,致死率が極めて高く(30〜80%),治療の最も困難な病気の一つで,近年の年間死亡数は,世界で約100万人と推定されている。テタヌストキシンは,この破傷風の病原因子である。破傷風菌が産生するもう一つの毒素であるテタノリジン(溶血毒,心臓毒)と区別して,厳密にはテタヌストキシンを破傷風神経毒素(tetanus neurotoxin)とよび,またその中毒症状の特徴にちなんで,ときにテタノスパスミンとよんでいる。テタヌストキシンは,ボツリヌス神経毒素と並んで,これまで知られている天然および人工のあらゆる毒性物質の中で最も毒性が高い。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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