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特集 細胞毒マニュアル—実験に用いられる細胞毒の知識 神経系に作用するもの シナプス後膜作用薬
コンカナバリンA
著者: 篠崎温彦1
所属機関: 1東京都臨床医学総合研究所薬理研究室
ページ範囲:P.455 - P.457
文献購入ページに移動 ■特性
植物レクチンのコンカナバリンA(Con A)は赤血球やグリコーゲン,デキストランなどの多糖類と凝集沈降反応を起こし,またメチル-α-D-マンノピラノシドやメチル-α-D-グルコピラノシドのような単糖グリコシド誘導体に対しても極めて特異的な結合をする。この二つの単糖グリコシド誘導体に共通していることは,2位炭素以外の全骨核原子における置換基の立体配置が全く一致していることであり,これはまたそれぞれ凝集反応を起こす多糖類の非還元末端残基に対応している。このように,Con Aは極めて特異的に一定の糖構造と結合することが明らかにされたのに伴い,これを用いて生理学的,生化学的に多方面の研究が進み,Con Aの各様の生理活性が報告されるに至っている。この項ではシナプス後膜に対する作用に限定して解説する。神経伝達物質の受容体は糖蛋白も関与していると考えられることから,伝達物質応答に対するCon Aの作用が調べられ,特に興奮性神経伝達物質の有力な候補であるグルタミン酸による受容体の脱感作(desensitization)を抑制することが報告された。グルタミン酸が受容体に長い間(おそらく5msec以上)作用し続けると,グルタミン酸が存在するのにもかかわらず,グルタミン酸に対する受容体の反応が低下(desensitization)する性質がある。
植物レクチンのコンカナバリンA(Con A)は赤血球やグリコーゲン,デキストランなどの多糖類と凝集沈降反応を起こし,またメチル-α-D-マンノピラノシドやメチル-α-D-グルコピラノシドのような単糖グリコシド誘導体に対しても極めて特異的な結合をする。この二つの単糖グリコシド誘導体に共通していることは,2位炭素以外の全骨核原子における置換基の立体配置が全く一致していることであり,これはまたそれぞれ凝集反応を起こす多糖類の非還元末端残基に対応している。このように,Con Aは極めて特異的に一定の糖構造と結合することが明らかにされたのに伴い,これを用いて生理学的,生化学的に多方面の研究が進み,Con Aの各様の生理活性が報告されるに至っている。この項ではシナプス後膜に対する作用に限定して解説する。神経伝達物質の受容体は糖蛋白も関与していると考えられることから,伝達物質応答に対するCon Aの作用が調べられ,特に興奮性神経伝達物質の有力な候補であるグルタミン酸による受容体の脱感作(desensitization)を抑制することが報告された。グルタミン酸が受容体に長い間(おそらく5msec以上)作用し続けると,グルタミン酸が存在するのにもかかわらず,グルタミン酸に対する受容体の反応が低下(desensitization)する性質がある。
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