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文献詳細

雑誌文献

生体の科学35巻6号

1984年12月発行

文献概要

特集 細胞毒マニュアル—実験に用いられる細胞毒の知識 神経系に作用するもの シナプス後膜作用薬

クラーレ

著者: 鷲尾宏1

所属機関: 1三菱化成生命科学研究所脳神経生理学研究室

ページ範囲:P.458 - P.460

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 ■特性および構造
 クラーレとは南米インディアンが用いた種々の矢毒の総称でありStrychnos(フジウツギ科)やChondodendron(ツヅラフジ科)などの種々の植物から得られる天然の抽出物である。因みに"curare"とは毒を意味するインディアンの言葉のwoorari,urariに由来すると言う1)。歴史的には19世紀中頃Claude Bernard2)がクラーレによる麻痺とその作用部位が運動神経と骨格筋の接合部であることを見出している。その後King3)が初めて天然の試料より結晶性アルカロイドの構造を明らかにしd-tubocurarineと名づけた。図1に示すように4級のアンモニウム塩基で光学異性体としてd型とl型があるが,前者は後者の数十倍の効果を持つ。臨床的には1942年最初に骨格筋弛緩剤として用いられた。現在でもこの目的のために広く使われており,ヒトの場合20〜30mgの静脈内注射によって約30分間の麻痺を生ずる4)。しかし,経口的には無効である。また一度血液中に入っても速やかに消失する。そのため濃度は13分で半減し,投与量の約1/3は尿中に排泄され,その他は数時間内に体内において不活性化される5)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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