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特集 細胞毒マニュアル—実験に用いられる細胞毒の知識 膜一般に作用するもの
N-エチルマレイミド
著者: 原諭吉1
所属機関: 1東京医科歯科大学医学部第1生化学教室
ページ範囲:P.485 - P.486
文献購入ページに移動白色結晶,融点45℃,水溶性,水溶液中ではpH5で安定(22時間)であるが,アルカリpHでは加水分解が進行する。中性でチオール基の選択的なアルキル化試薬として用いられるが,アルカリpHではさらにイミダゾール基やアミノ基とも反応する1)。チオール基は蛋白質の機能に関与することが多く,N-エチルマレイミド処理によって広汎な細胞機能の障害がひき起こされる。N-エチルマレイミドはSH基の関与を推定する手段としてのみならず,酵素反応機構の解析,蛋白の構造変化追跡にも用いられ,さらにN-エチルマレイミドと蛋白とが安定な結合を形成することを利用して,N置換マレイミドが螢光標識試薬や架橋試薬の反応基として用いられる。
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