文献詳細
特集 細胞毒マニュアル—実験に用いられる細胞毒の知識
膜一般に作用するもの
文献概要
■特性と構造
アンホテリシンBは1951年にバージニアの牧場の土から分離された細菌の産生するポリエン抗生物質と呼ばれているもののうちの一種で,主に難治とされた真菌症の治療に用いられて来た。
この物質の化学構造の特徴は図1に示すように,大きな環状構造(マクロライド環)を持ち,この環の上半分には多数のOH基(親水性)があり,また下半分には多数の二重結合(疎水性)があって,典型的な両親媒性の構造をしている。このためにこの抗生物質は極めて特異的な膜作用を有している。すなわち,①膜構造の破壊(不規則な膜蛋白の凝集が起こる),②膜透過性の亢進(イオンやグルコースなどについて),③イオン孔の形成(陽イオン選択性,陰イオン選択性が可能),などがそれである。これらの特異な膜作用はいずれも抗生物質と膜内コレステロールの相互作用の結果であると考えられている。
アンホテリシンBは1951年にバージニアの牧場の土から分離された細菌の産生するポリエン抗生物質と呼ばれているもののうちの一種で,主に難治とされた真菌症の治療に用いられて来た。
この物質の化学構造の特徴は図1に示すように,大きな環状構造(マクロライド環)を持ち,この環の上半分には多数のOH基(親水性)があり,また下半分には多数の二重結合(疎水性)があって,典型的な両親媒性の構造をしている。このためにこの抗生物質は極めて特異的な膜作用を有している。すなわち,①膜構造の破壊(不規則な膜蛋白の凝集が起こる),②膜透過性の亢進(イオンやグルコースなどについて),③イオン孔の形成(陽イオン選択性,陰イオン選択性が可能),などがそれである。これらの特異な膜作用はいずれも抗生物質と膜内コレステロールの相互作用の結果であると考えられている。
掲載誌情報