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文献詳細

雑誌文献

生体の科学35巻6号

1984年12月発行

文献概要

特集 細胞毒マニュアル—実験に用いられる細胞毒の知識 膜一般に作用するもの

モネンシン

著者: 池原征夫1

所属機関: 1福岡大学医学部第2生化学教室

ページ範囲:P.500 - P.501

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 ■特性および構造
 モネンシンはStreptomyces cinnamonensinから抗生物質の一種として分離された。in vitroではグラム(+)菌や抗酸菌に対して弱い抗菌作用がみられるが,in vivoではほとんど抗菌作用を示さない。モネンシンは典型的なcarboxylic ionophoreの一つであり,生体膜や人工膜における一価陽イオンの膜透過の担体として機能する。イオンの選択特異性は,Na>K>Rb>Cs>Li>NH4であり,Naに特に親和性の高いのが特徴である1)。最近,本薬剤が種々の細胞の分泌過程ならびにエンドサイトーシス過程に著しい影響を与えることがわかり,注目されるようになった2)(表1)。
 市販されているナトリウム塩の構造は図1に示すとおりで,実験式C36H61O11Na;分子量692.9;融点267〜269℃である。水にはほとんど不溶性であるが,メタノール,エタノール,クロロホルムのような有機溶媒にはよく溶ける。遊離酸としてのモネンシンは酸性溶液中では不安定で,室温以上の温度で容易に分解を受けるが,ナトリウム塩は有機溶媒や水・有機溶媒混液中でかなりの温度にも安定である。紫外吸収スペクトルでは波長220nm以上に吸収はない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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