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文献詳細

雑誌文献

生体の科学35巻6号

1984年12月発行

文献概要

特集 細胞毒マニュアル—実験に用いられる細胞毒の知識 細胞骨格に作用するもの

コルヒチン

著者: 石川春律1

所属機関: 1群馬大学医学部解剖学教室

ページ範囲:P.518 - P.519

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 ■特性
 コルヒチン(colchicine)は微小管毒として最も広く用いられる薬品である。ユリ科の植物,とくにイヌサフラン(Colchicum autumnale)から抽出されるアルカロイドで,古くから痛風発作に劇的に効く薬として有名であった。19世紀後期にはすでに純粋なものとして結晶化されていた。コルヒチンの副作用として下痢や腸潰瘍などが知られているが,それに関連して,腸陰窩など細胞増殖域に分裂像が増加するのが見出された。この像から,はじめコルヒチンが細胞分裂を促進すると信じられていたが,のちに,細胞分裂像の増加は,分裂期に入った細胞が分裂中期で滞められるためであることが明らかになった1)。コルヒチンは他の分裂間期(G1,S,G2)の時間進行には特に変化を与えない。動物細胞では,処理により,分裂中期停滞を起こすのみであるが,植物細胞では紡錘体なしで,数回の核分裂を繰り返し,2倍ないし4倍の数の染色体をつくり出す。染色体の増加によって巨大核が誘起される。この特性は農学において育種に広く応用されてきた。
 コルヒチンが分裂細胞の紡錘体を阻害することによって,分裂を障害することは1930年代に明らかになったが,微小管毒であるという現在の認識は1960年後半のE.Taylorらの一連の研究にその端を発している2)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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