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文献詳細

雑誌文献

生体の科学35巻6号

1984年12月発行

文献概要

特集 細胞毒マニュアル—実験に用いられる細胞毒の知識 細胞骨格に作用するもの

ビンブラスチン

著者: 佐藤英美1

所属機関: 1名古屋大学理学部臨海実験所

ページ範囲:P.520 - P.523

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 ■特性
 チュブリンダイマーまたはオリゴマーと直接結合し,微小管特に紡錘体微小管を脱重合させることで細胞分裂を抑制し,あるいは阻害する薬物を一般に核毒(mitoticpoisons)と呼ぶ。薬理作用の類似性からコルヒチンとその同族体,ビンブラスチンなどのVinca系のアルカロイド,かびから抽出されたグリセオフルビン,ポドフィロトキシン,除草剤などに分けられるが,構造上からはmethoxy基の存在のほかには共通点はない2)
 ビンブラスチンはキョウチクトウ科のVinca roseaLinn(和名つるにちにち草:俗称"仏さんのお花")から抽出されたアルカロイドである。白色または淡黄色の結晶性粉末で無臭。水,クロロフォルムに可溶。水に溶けやすくするために硫酸塩として使用される場合が多い。Vincaの薬効については古くから各地で知られており,ジャマイカでは糖尿病用の薬湯として用いられた。Eli Lillyの研究陣がVinca系のアルカロイドを多年にわたって追求したのもその理由からであった。中世にはマダガスカル島原産のこの植物のアルカロイドを媚薬として使う試みもあったという。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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