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文献詳細

雑誌文献

生体の科学35巻6号

1984年12月発行

特集 細胞毒マニュアル—実験に用いられる細胞毒の知識

代謝系に作用するもの

蛋白分解酵素阻害剤

著者: 佐々木實1

所属機関: 1名古屋市立大学医学部第2生化学教室

ページ範囲:P.603 - P.613

文献概要

 蛋白分解酵素阻害剤(プロテアーゼインヒビター)は動物,植物,微生物の細胞内や組織液中に含まれており,人工的にも多くの阻害剤が合成されている。一般に動物と植物に存在するインヒビターは高分子で蛋白性(ポリペプチド)のものであり,微生物由来のものは低分子のものが多い。したがって,微生物由来のもので特色あるすぐれたインヒビターは人工的にも合成され量的生産も可能になっており試薬としての利用価値も高い。一方,蛋白分解酵素(プロテアーゼ)には系統的に分化したいろいろなタイプがあり,それらは活性中心の構造に差違があるので,1種類のインヒビターがこれらすべてのプロテアーゼを阻害することはできない。特種の例外を除き1種類のインヒビターは一般にそれに対応する限られた種類のプロテアーゼを阻害する。すなわち,酵素が基質に対して特異性をもっているように,インヒビターもプロテアーゼに対して特異性または選択性をもっている。そのためインヒビターを有効に使用するにはプロテアーゼに関する最少限の知識が必要となる。
 プロテアーゼの系統的な分類は図1のようである。プロテアーゼは蛋白質を構成するポリペプチド鎖の中ほどを水解するエンドペプチダーゼと末端のペプチド結合を水解するエキソペプチダーゼに大別される。エンドペプチダーゼはさらに活性中心の触媒部位を形成するアミノ酸の種類によりセリン,システイン,アスパルティック,メタロプロテアーゼの4種類にわかれる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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