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特集 Transmembrane Control
文献概要
動物細胞は多くの外来性分子を細胞内に取り込む。この機構には大別してpinocytosisとendocytosisが知られている1)(図1)。pinocytosisは細胞膜のくぼみ(cav-colae)を介して行われるmicropinocytosisと,細胞表面のひだ状構造(ruffle)が外液を包み込む形で行われるmacropinocytosisに区別され,それぞれはイオンなどの低分子をmicropinosome(直径〜800A)に,Con Aや免疫グロブリンなどの高分子をmacropinosome(直径0.5〜3μm)に取り込み,ついでリソソームに運び込む機構である。エンドサイトーシスはそれぞれのリガンドに特異的な膜レセプターを介する取り込みの機構で,低密度リポタンパク質(LDL)やアシアロ糖タンパク質(AS-GP),ポリペプチドホルモン,毒素タンパク質などで研究が進んでいる。本稿では特に,EGF(上皮増殖因子)のエンドサイトーシスに関する最近の知見を他のリガンドレセプター系と対比しながら解説する。EGFの細胞増殖促進作用の分子機構に関しては他の総説2-6)を参照されたいが,その作用との関連からエンドサイトーシスの生物学的意義を考察する。
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