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文献詳細

雑誌文献

生体の科学36巻1号

1985年02月発行

文献概要

解説

カルシウム・アンタゴニスト

著者: 齊田孝市1

所属機関: 1新潟大学歯学部薬理学教室

ページ範囲:P.54 - P.58

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 1964年Fleckenstein1)は新しく冠血管拡張薬として開発されたverapamilとprenylamineの心臓に対する副作用を調べていたが,たまたま両薬物の心筋抑制作用(収縮力,酸化的リン酸化そして酸素消費量の低下)が細胞外液のCa2+を除去した効果と似ていることに気づいた。さらに両薬物の心筋抑制作用が細胞外液のCa2+の増加,あるいはβ-作動性カテコールアミン類や強心配糖体の適用(いずれもCa2+の内向き電流を増加させる)によって拮抗される事から,1969年彼2)はこれらの薬物をカルシウム拮抗薬と命名した。カルシウム拮抗薬は当初狭心症治療薬として臨床応用されたが,冠動脈スパスムが主因となって発現する異型狭心症に卓効性を示した。後に数多くのカルシウム拮抗薬が登場し,その適用範囲も不整脈,高血圧,心不全などから虚血心筋保護効果と拡がり,循環器疾患には欠かせない薬となった。
 本稿では主に代表的なカルシウム拮抗薬となっているverapamil,diltiazemそしてnifedipine(図1)の基礎的な研究成果について解説する。臨床面では既に優れた総説3)や成書4,5)があるので詳細は省略する。なおverapamil,diltiazemやnifedipineなどは,現在カルシウムチャネル拮抗薬,あるいはカルシウム進入遮断薬と命名されているが,本稿では元のままカルシウム拮抗薬と呼ぶことにする。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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