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文献詳細

雑誌文献

生体の科学36巻2号

1985年04月発行

文献概要

特集 肝細胞と胆汁酸分泌

胆汁酸生合成経路とその異常

著者: 奥田九一郎1

所属機関: 1広島大学歯学部口腔生化学教室

ページ範囲:P.85 - P.90

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 体内コレステロールの85〜90%は肝臓で胆汁酸に変換された後胆汁中に排泄される。したがって量的に見た場合,コレステロール代謝の大部分は胆汁酸への変換であるということができる。ヒトにおける胆汁酸の生合成について,最近米国RichmondのV. A. Hospitalのグループはスウェーデンのカロリン研究所のGustafsson,Uppsala大のDanielssonらと共同で詳細な研究を発表している。図1は彼らによって提案されている胆汁酸合成経路である1,2)。従来,動物(主として白ネズミ)を使った研究から得られた結果3)と異なる点は,①コレステロールから7α-水酸化を経ないでコール酸に変換する経路が存在すること(25〜30%),②核の変換は側鎖の酸化以前に完了するというBergströmらの古い仮説は必ずしも成り立たず,側鎖が酸化されている中間体でも核の修飾を受け得るということである(たとえば5β-コレスタン-3α,7α,26-トリオールも12α位に水酸化を受けて効果的にコール酸に変わり得る)。以下図1の個個の反応について図に示した番号に従って概説することにする。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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