icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学36巻2号

1985年04月発行

文献概要

特集 肝細胞と胆汁酸分泌

コレステロール・胆汁酸の生成調節系

著者: 小倉道雄1

所属機関: 1鳥取大学医学部生化学教室

ページ範囲:P.104 - P.107

文献購入ページに移動
 Ⅰ.コレステロールと胆汁酸
 コレステロール(ch)は哺乳類の成体には体重1kg当り1〜2g含まれている1)。その生理的意義は次のように総括できる。第一にはchそれ自身としての役割で,形質膜その他の基本的な成分をなす。第二にはステロイドホルモンおよび胆汁酸の前駆体としての役割で,副腎皮質ではコルチコステロイドの前駆体となり,性腺ではアンドロゲンまたはエストロゲンを生成し,肝臓では胆汁酸に変換される。また,このほかch自身ではないが,その生合成中間体の7-デヒドロコレステロールは皮膚で日光照射によりビタミンD3に変換される。
 これらのchの代謝変換のうち,肝臓における胆汁酸への変換は内因性および外因性chの異化排泄径路として量的に多く,また胆汁中への分泌後にもその腸肝循環過程において,肝臓だけではなく,さらに全個体のchの代謝回転の調節に関係している点で重要である。ラットでは体内の交換可能なchの総量の80〜90%,ヒトではおよそ半分に当るものがこの運命をたどり,結局は代謝終末産物として糞便中に排泄されて行く2)。他方,ステロイドホルモンの生成はchの代謝物として量的には少ないが,いわゆる作用物質として生体機能の多方面にわたる調節を行う点において質的に重要である3)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?