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文献詳細

雑誌文献

生体の科学36巻2号

1985年04月発行

文献概要

特集 肝細胞と胆汁酸分泌

胆汁酸の肝細胞内移送とその異常—超微形態学的観点から

著者: 織田正也1 市川栄基1 小松弘一1 塚田信廣1 渡辺勲史1 船津和夫2 土屋雅春1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部消化器内科 2東京歯科大学市川病院内科

ページ範囲:P.115 - P.131

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 胆汁酸と胆汁分泌の関係は古くから注目され,胆汁分泌機構の解明に不可欠な課題として究明されてきた。胆汁酸がprimary moverとして毛細胆管へ能動移送される結果,胆汁浸透圧が上昇し,それに伴う水の受動移送がひき起こされることが明らかにされた1)。そして,胆汁流量と胆汁酸排泄率との関係の追究から胆汁流(bile flow)には,胆汁酸依存性胆汁流(bile acid-dependent bile flow)のみならず胆汁酸非依存性胆汁流(bile acid-independent bile flow)が存在することが指摘されるに至った1-7)。さらに最近の報告によると,胆汁酸排泄率が低い領域では,胆汁流の胆汁酸排泄率に対する比がこれまで考えられていた値より遙かに大きいことが判明し8,9),Na-K-ATPaseを介する胆汁酸非依存性胆汁流が胆汁分泌の基本をなすとする説が提唱されている10-16)。しかし,これは胆汁酸の肝細胞内摂取が,類洞側肝細胞形質膜に存在するNa-K-ATPaseに大きく依存する考えに立脚しているので,むしろ胆汁酸依存性胆汁流と非依存性胆汁流の区別が明確にできなくなってきた印象を受ける。
 胆汁酸の胆汁中排泄機構は,肝細胞内摂取,肝細胞内移送および毛細胆管内排泄の三段階に分けて考えられている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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