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文献詳細

雑誌文献

生体の科学36巻2号

1985年04月発行

文献概要

特集 肝細胞と胆汁酸分泌

異常胆汁酸の生成と代謝

著者: 安室芳樹1 東野一彌1

所属機関: 1兵庫医科大学第三内科

ページ範囲:P.144 - P.148

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 胆汁酸は肝でコレステロールより生成され抱合を受けた後胆道を経て腸管へ分泌され,その大部分は回腸末端へ達するまでに吸収される。また一部は大腸へ移行し,腸内細菌の作用で脱抱合および脱水酸化を受けてから吸収される。すなわち閉鎖的な腸肝循環を行っており合成量に相当する量が糞便中へと排泄される。胆汁酸のうちコレステロールより直接生成される胆汁酸が,いわゆる一次胆汁酸とよばれるコール酸(以下CAと略す),およびケノデオキシコール酸(CDCA)であり,それらが脱水酸化を受けて二次胆汁酸のデオキシコール酸(DCA),およびリトコール酸が生じる。この四種にCDCAの7β-異性体であるウルソデオキシコール酸(UDCA)を加えた五種がヒト体液成分中の主要な胆汁酸である(図1)。
 ところが糞便中にはこれらの胆汁酸以外のケト型胆汁酸やβ-水酸化型胆汁酸が微量ながら存在し,それらは腸内細菌の作用で産生された二次胆汁酸であると考えられている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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