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文献詳細

雑誌文献

生体の科学36巻2号

1985年04月発行

文献概要

話題

T細胞の抗原リセプターをめぐる戦い

著者: 菅野雅元1

所属機関: 1千葉大学医学部環境疫学研究施設免疫研究部

ページ範囲:P.154 - P.158

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 最近,免疫系において重要な役割を果たしているT細胞の抗原リセプターの遺伝子について非常にホットな戦いが行われているので,ここで簡単に紹介してみたいと思います。
 免疫系を構成する細胞のうちで,とくにB細胞とT細胞が中心的な位置を占めながら相互に作用しております。B細胞は抗体産生細胞としてよく知られており,表面に免疫グロブリン(Ig)を持っています。このB細胞は抗原の刺激により分化誘導が起こり,抗体を分泌するプラズマ細胞へと分化します。それぞれのB細胞の表面にあるIgは異なる抗原特異性を持ち,それはV-D-Jの三つのエクソンから成る,Igの可変領域(V領域)の部分によって特異性が決定されています1)。またIgの定常部分は,マウスではμ-δ-r312b-r2a-ε-αの順に配列された遺伝子により決定され,μからクラス・スイッチを起こして一つの抗体の定常部分が決定されています2,3)。これらのIgの蛋白質レベルや遺伝子レベルでの解析は,非常に多くの研究者によるアクティブな実験により,現在までにほとんど解明されております。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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