文献詳細
謎シリーズ
「夢」の神経生物学
著者: 酒井一弥1
所属機関: 1Département de Médecine Expérimentale, Université Claude Bernard
ページ範囲:P.159 - P.163
文献概要
われわれは現在脳波などを記録することによって睡眠状態を客観的に捉えることができる。そして後述するように,「逆説睡眠」と呼ばれる特殊な睡眠期にわれわれは皆夢を見ること,夢を見ないという者も実際は夢を見ているのであり,ただ夢を見たということを覚えていないだけなのだということがわかってきた。しかし正確に言うならば,われわれは夢を見るのではなく夢を見させられているのであり,夢はまたあくまでも夢を体験したものの主観性を通して,覚醒時における想起という形でしか捉えることができない。夢はなぜどのようにして生じるのか。脳のどのような細胞の活動に由来し,どのような仕組で意識にのぼってくるのか。
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