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文献詳細

雑誌文献

生体の科学36巻3号

1985年06月発行

文献概要

特集 血管内皮細胞と微小循環

血管内皮細胞と細胞骨格

著者: 石川春律1

所属機関: 1群馬大学医学部解剖学教室

ページ範囲:P.173 - P.179

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 血管内皮は大動脈から毛細血管を経て大静脈に至る血管の内面を被覆し,心臓内腔の心内膜内皮へ連続する単層の上皮細胞層である。内皮は常に血流にさらされ,血力学的環境下にあると同時に,血液と組織の間の隔壁をなしながら,物質交換ないし透過性の場となっている。内皮細胞はこのような機能的特性を反映した形態をとっているはずである。実際,血管の種類や部位によって細胞形態にかなりの差がある1)
 内皮細胞は通常きわめて扁平で,ほとんどの部位で血流方向に伸長した長楕円形を呈する2)。核も大動脈では,長楕円形で,その長軸を血管長軸に一致させ整然と配列している3)。内皮細胞は相互に密に連結され,連続した被覆をなす。血管の部位により,細胞の厚さは異なり,核の位置を除き扁平化した典型的細胞から,立方形,紡錘形の細胞まである。毛細血管では,内皮はとくに扁平で,連続性内皮と,小孔を有する有窓性内皮が区別される。また,内皮の内腔側の自由表面は一般に平滑であるが,部位によりひだ状突起や指状突起など特殊化もみられる。内皮細胞は基底面を基底膜に載せ,これに接着させているが,部位により例外的に基底膜を欠く毛細血管もある。細胞内部には,核や各種オルガネラが一定の分布・配置を示す。ゴルジ装置や中心体は核近傍に位置する。このような内皮細胞の形態的特徴はどのような仕組みによって維持されているのであろうか。その主な担い手として細胞骨格(cytoskeleton)がある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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