icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学36巻3号

1985年06月発行

文献概要

特集 血管内皮細胞と微小循環

物質透過と組織液

著者: 大橋俊夫1

所属機関: 1信州大学医学部第1生理学教室

ページ範囲:P.185 - P.191

文献購入ページに移動
 微小循環系を介する物質交換の生理学的意義は次の二つに要約することができる。すなわち,一つは,臓器・組織を構成する細胞群の内部環境の恒常性維持であり,もう一つは全身体液量の最重要な調節因子である。したがって毛細血管領域こそ循環系においてもっとも本質的な部分であって,心臓,動・静脈系は適正な血流を毛細血管に供給するための補助的器官であると言っても過言ではない。こうした微小循環系の生理学的意義は,毛細血管系の物質交換機能に加えて,組織間隙ならびにリンパ系における組織間液(組織液)の維持・回収機能が正常に稼動して,はじめてその目的を果すことができる。この総説では,とくに後者の生理機能を理解するために,組織間隙と毛細リンパ管の問題に的を絞り,機能と形態との相関を加味しながらここ10数年来の進歩1-4)を概説したい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?