特集 血管内皮細胞と微小循環
動脈内皮細胞膜酵素の代謝と細胞化学
著者:
小川和重1
藤本和1
小川和朗1
所属機関:
1京都大学医学部解剖学第二講座
ページ範囲:P.192 - P.197
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血管内皮細胞は血管の内面を連続して覆う一層の扁平な細胞であるが,血管の種類により,その形態像は多様である。一般に血管内皮細胞の管腔側および基底側には(飲)小胞が多く(5,000〜10,000コ/細胞),小胞は細胞全体の容積の1/3を占めるとされている1)。また,内皮細胞は特徴的なWeibel-Palade小体がみられる場合がある。内皮細胞の機能は,血液の流動性の保持,物質の透過性の制御,血管壁の張力の調節などの点に集約される。これらの機能維持には,外界の情報(生理活性物質)に最初に接する機会を持つ,内皮細胞の細胞膜に存在する種々の膜酵素が深く関与していると考えられる。本項においては膜酵素であるadenylate cyclase,guanylate cyclase,nucleotidases(ATPase,ADPase,AMPase)の内皮細胞における代謝上の意義について触れ,併せて内皮細胞内微細局在性について述べる。