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文献詳細

雑誌文献

生体の科学36巻3号

1985年06月発行

文献概要

特集 血管内皮細胞と微小循環

侵襲時生体反応としての微小循環障害—DIC(播種性血管内凝固症候群)の今日的理解

著者: 土屋雅春1 末松誠1 三浦総一郎1 永田博司1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部内科

ページ範囲:P.211 - P.216

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 侵襲が外因的であると内因的であるとを問わず強い刺激となって生体に加わるときに,生体には病的状態が惹起される。その病的状態は機能異常から器質異常まで,一過性の回復可能のものから恒久性の死に至るまでを含む。一方疾病像は侵襲原因により直接形成されるばかりでなく,侵襲に対する生体反応自身が病像形成に大きな影響を及ぼすことも忘れてはならない。
 J. Reilly1)が1934年に「侵襲に対する自律神経過剰興奮による生体の非特異的反応症候群」の中で腹腔神経節に加えられた過剰刺激irritationにより,一見,腹腔神経節とは関係ないような遠隔の臓器にまで出血性病変が起こることを記載して以来,自律神経系の過剰刺激によって諸臓器に病変が生じる現象は,Syndrome d'irritation neurovégétative(自律神経過剰刺激症候群)として知られるようになったが,この事実は,侵襲に対して生体反応として作動する自律神経系が,あるときにはかえって疾病の形成に重要な役割を果たしていることを明らかにした点できわめて意義深い。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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