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文献詳細

雑誌文献

生体の科学36巻3号

1985年06月発行

文献概要

解説

蛋白質のリン酸化による神経機能の制御

著者: 内藤成孝1 塩井純一2

所属機関: 1 2

ページ範囲:P.232 - P.246

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 共有結合修飾により酵素活性が調節されている例が数多くあり,そのうちでもっとも良く研究されているのが蛋白質のリン酸化である1,2a,b)。この反応は可逆的であること,de novoの蛋白質合成を必要としないこと,したがって速やかな調節が可能であること,エネルギー消費が僅かですむこと3),および細胞内諸因子の変化に敏感に応答し生体情報の効果的増幅をもたらし得ること4,5)に特徴がある。このことから蛋白質のリン酸化反応が生化学的進化の過程で多様な細胞内経路への発散的適応をし,種々の現象の重要な段階の調節を司るようになってきたと考えられる。たとえば糖質代謝や脂質代謝,蛋白質合成,細胞増殖因子の作用,染色体複製,遺伝子の転写,ポリアミン合成,ホルモンの作用,発癌,平滑筋の収縮,神経伝達物質の合成,細胞のイオン透過性の制御などの広範囲の過程において,酵素や蛋白質のリン酸化が決定的な調節的役割を担っていることが明らかになりつつある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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