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文献詳細

雑誌文献

生体の科学36巻4号

1985年08月発行

文献概要

特集 神経科学実験マニュアル 実験動物取り扱い法

魚類

著者: 上田一夫1

所属機関: 1東京大学理学部動物学教室

ページ範囲:P.265 - P.266

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 ■ 実験動物としての特徴・意義
 魚類はその神経系,内分泌系,循環系,消化系,排泄系などの構造や機能が基本的には他の脊椎動物と同一であり,しかもそれらは概して魚類の方がより単純である。このため脊椎動物の一般的生物現象の追及には好適の動物である。とくにその脳の構築と機能は高等脊椎動物(哺乳類)と比べてはるかに単純なので,神経科学の基礎的研究には優れた実験系となる場合が多い。たとえば,神経行動学の分野では,行動を発現させる刺激(鍵刺激)を認識する神経機構,一群の筋肉を合目的に協調させ特定の行動をひき起こさせる司令の機構,運動パターン発生の機構,動機づけの機構などが研究の対象となるが,適当な魚種を選べば上記の研究を遂行することができる。すなわち,行動に関連する諸筋肉の筋電図記録,脳局所の破壊や刺激の実験,行動時の脳の電気的活動の記録など神経生理学の分野で日常使用されている諸手法を適用することが可能である1)。また,一般に,実験魚の入手および飼育は容易であり,かつ,それらの経費が比較的安価であることも研究材料として優れているといえよう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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