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文献詳細

雑誌文献

生体の科学36巻4号

1985年08月発行

特集 神経科学実験マニュアル

実験動物取り扱い法

マウス

著者: 大野忠雄1

所属機関: 1筑波大学基礎医学系生理

ページ範囲:P.272 - P.273

文献概要

 ■ 実験動物としての特徴・意義
 マウスは,齧歯目,ネズミ科,ハツカネズミ属,ハツカネズミ種の動物で,学名はMus musculusである。本来日本語ではハツカネズミと呼ばれるべきであるが,実験動物としては一般にマウスと呼び習わされている。マウスは,性質が温順で扱いやすく,繁殖力が強く,飼育管理が容易で,経済的にも安価なので大量に使用することが可能であり,遺伝的にはっきりした系統も数多くある。これらの利点のために,マウスはいろいろな研究分野で広く用いられており,現在もっとも使用頻度の高い実験動物となっている4)
 しかし,神経科学の分野においては,正常なマウスが,正常な神経系の形態学的・生化学的・生理学的性質を調べる目的のための実験動物として用いられることは少ない。マウスはラットに較べて体が小さい(成体重:マウス18〜40グラム,ラット200〜800グラム)1,9)ために神経系の構造も小さく,そのために正確な外科的操作を加えることが難しく,試料を大量に採取することも不可能であり,生理学的な急性実験を行うにあたっては全身状態の管理が難しいなどの難点があることが原因であろう。上記の様な目的のためには,もし齧歯目の動物を使う必要があるならば,ラットを使う方が効率が良い。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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