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文献詳細

雑誌文献

生体の科学36巻4号

1985年08月発行

文献概要

特集 神経科学実験マニュアル 脳組織の実験材料

ニューロンの培養—神経細胞の一次培養法

著者: 福田潤1

所属機関: 1東京大学医学部第1生理学教室

ページ範囲:P.306 - P.308

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 生体より摘出した細胞や組織を人工環境下で生存させ,機能させる初代培養法,一次培養法(primaryculture)は,神経細胞,筋肉細胞など細胞分裂能力の乏しい細胞にひろく用いられている培養法である。それと相対する手法に,癌細胞,神経芽細胞,線維芽細胞など増殖性の強い細胞に用いられる継代培養法があるが,実験室における運用の面で大きく性格を異にしている。神経細胞の初代培養は1907年カエル脊髄神経細胞よりの軸索再生実験に端を発するもので,一時期名人芸的な熟練を求められたこともあったが,最近の細胞工学,遺伝子工学の急速な進歩のおかげをこうむって,培地,器具,装置が大幅に改良されて,現在では比較的導入の容易な研究法の一つとなっている(図1)。しかし一口に「初代培養」と称しても多種多様であり,それぞれに有利な点と不利な点がある。したがって,目的に応じて適当な方法を選択していくべきである。また,研究室のおかれた状況によって条件が異なることが多い。たとえば入手可能な血清の種類や皿の種類などがあり,また同じ種類の血清などでもロット差が大きく,培養の成否を左右しかねない。したがって良い培養を行えるようにするためには,試行錯誤による手法の改良と材料の選定をあらかじめ見込んでおくべきである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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