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文献詳細

雑誌文献

生体の科学36巻4号

1985年08月発行

文献概要

特集 神経科学実験マニュアル 脳組織の実験材料

脳切片—生理実験

著者: 山本長三郎1

所属機関: 1金沢大学医学部生理学教室

ページ範囲:P.317 - P.319

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 ■ 概要
 生体脳をそのまま用いたのでは実施不能な実験操作を施したいことがある。たとえば,i.ニューロンのイオン環境を変える,ii.ニューロンに既知の濃度の薬物を作用させる,iii.ニューロンの特定の部位に刺激を加えたり,特定部位から電位記録する,ことが要求される場合などである。このような時には,脳組織を厚さ約0.35mmの切片として人工液中に取り出して実験を行えば,生体脳での困難を避けることができる。これまで脳切片法を利用して,長期増強の機構,中枢ニューロンのCaチャネルの性質などが調べられている。
 脳切片は,脳の軟膜表面に平行に切り出す場合と,軟膜表面に垂直に切り出す場合とがある。前者では,後述のガイドを使えば再現性よく切片を作ることができるが,シナプス後細胞の細胞体や樹状突起の起始部が切片中に含まれないことが多い。それでも,比較的大きなシナプス後電位が場の電位として記録される。後者では,シナプス後細胞が切片の中に完全に取り込まれており,切片の切断面を見ると細胞体層がはっきり見えることが多いので,電位を記録するのに便利である。しかし,切片を切る時の角度が少し斜めになっただけで電気活動は著しく減弱する。ニューロンが傷害されるためであろう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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