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文献詳細

雑誌文献

生体の科学36巻4号

1985年08月発行

文献概要

特集 神経科学実験マニュアル 脳組織の実験材料

脳組織の移植

著者: 川村光毅1

所属機関: 1岡山大学医学部解剖学教室

ページ範囲:P.328 - P.329

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 ■ 概要
 哺乳動物の中枢神経系の組織は,末梢神経系の組織と異なり,損傷をうけた部位の再生および修復は一般には起こり得ないとされてきた。近年,中枢神経系組織の損傷によって生じる異常運動,概日リズムの障害,神経内分泌機能の障害などが動物を用いた移植実験の結果かなり改善されることが明らかにされた1,2,5)
 神経症状の改善ないし神経機能の回復を目指すという実際上の目的のほかに,中枢神経組織の移植の実験は再生過程で起こる生物学的諸問題を解明するアプローチの一つとして大きな意義をもっている。すなわち,①宿主または受領者(host,recipient)と供与者(donor)の組織間を再生線維が通過する条件の問題,②その通過した再生線維がどのようにして標的細胞に到達し,③シナプス結合を完成させるかという問題,また,④どの程度の厳格さ(特異性)—組織レベル,細胞レベル,さらに部位局在のレベルetc.—をもって2種のニューロンが結合するのか,⑤結合する際に起こる物質変化の時間的・空間的問題,⑥シナプス形成または"偽"シナプス形成時におけるリセプターレベルでの物質発現の問題など神経生物学上の基本的問題が山積している。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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