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文献詳細

雑誌文献

生体の科学36巻4号

1985年08月発行

文献概要

特集 神経科学実験マニュアル 脳組織の実験材料

細胞分画—グリアフィラメント

著者: 月田承一郎1

所属機関: 1東京大学医学部解剖学教室

ページ範囲:P.342 - P.344

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 ■ 概要
 グリア細胞(神経膠細胞)は,星状,希突起,小膠細胞の3種類に分類される。このうち星状膠細胞は,10nmフィラメント(中間径フィラメント)に富んだ突起を有し,このフィラメントは古くよりグリアフィラメント(glial filament)と呼ばれてきた。脳には前述のニューロフィラメントも多量に存在するため,この2種類の10nmフィラメントの構成蛋白質の同定の過程では若干の混乱が生じた。現在では,グリアフィラメントの構成蛋白質は,グリア線維酸性蛋白質(GFA蛋白質;glialfibrillary acidic protein)とビメンチン(vimentin)であることが広く認められている。GFA蛋白質は多発性硬化症の脳のプラーク(主に星状膠細胞よりなる)よりEngらが分離した分子量45,000〜54,000の酸性蛋白質1)で,この蛋白質から試験管内で10nmフィラメントを再構築することができる2,3)。ビメンチンは主に間葉系の細胞の10nmフィラメントの構成蛋白質として広く分布する分子量約55,000の蛋白質で,これも試験管内で10nmフィラメントを形成することができる。多くの星状膠細胞ではこの両者が共存するが,GFA蛋白質のみが認められる細胞もある。グリオーマ細胞ではこの2種類の蛋白質が共重合して10nmフィラメントを形成していることが免疫電子顕微鏡法により示されている4)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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