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文献詳細

雑誌文献

生体の科学36巻4号

1985年08月発行

文献概要

特集 神経科学実験マニュアル 脳組織の実験材料

細胞分画—コート小胞

著者: 門田健1 門田朋子1

所属機関: 1東京都精神医学研究所神経化学 2千葉大学医学部解剖学教室

ページ範囲:P.345 - P.348

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 ■ 概要
 コート小胞(coated vesicle)はほとんどすべての真核細胞に存在する細胞内小器官の一つである。大きさは60〜200nm(直径),形は類円〜楕円である。形質膜からの陥入(エンドシトーシス)やゴルジ体膜からの芽出によって形成される。この小胞を特徴づけているのは,その外側(細胞質側)をおおっている網目状の構造である。この網目状の構造はコート(coat)とよばれており,全体としてみると多面体となっている〔図1,2)〕。この多面体を構成している一つ一つの面の形(網目の形)は正六角形または正五角形である〔図1,3)〕。
 コート小胞の機能として次のようなものがあげられている。1)神経終末で,シナプス小胞のエキソシトーシスで過剰になった終末形質膜を除去し,終末内に搬入する8,10)。2)細胞内で,分泌蛋白や酵素といった巨大分子の運搬に関与する。たとえば培養筋細胞内でゴルジ体から終板へのACh受容体の運搬3)。3)形質膜表面上の受容体に結合した血清中の巨大分子(リガンド)などを細胞内に取り込む〔図1,1),2)〕。この受容体を介し,コート小胞の形成を伴うリガンドの取り込み方式は,受容体介達性エンドシトーシス(receptor mediatedendocytosis)とよばれている1,6)。受容体を介するため,取り込まれるリガンドの選別がなされる。また取り込まれるリガンドの濃縮がなされるのも特徴の一つである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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