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文献詳細

雑誌文献

生体の科学36巻4号

1985年08月発行

文献概要

特集 神経科学実験マニュアル 脳組織の実験材料

細胞分画—形質膜(糖脂質)

著者: 岩森正男1 永井克孝1

所属機関: 1東京大学医学部生化学教室

ページ範囲:P.349 - P.351

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 ■ 概要
 形質膜(plasma membrane)は細胞の外壁として細胞外空間に接し,刺激や情報の授受など細胞が生命活動を営むうえで基本的な反応に密接に関わっている。厚さ7.5〜10nm,脂質と蛋白質で構成された形質膜を単離し,その特異的構造や反応特性を解析する傾向がますます強まっている。哺乳動物の脳を構成する細胞は多様性に富んでいるが,とくに重要な細胞はニューロン(神経細胞)とグリア細胞である。ニューロンは,その存在部位や役割によってPurkinje細胞,錐体細胞,星細胞,顆粒細胞,梨形細胞,紡錘状細胞に大別され,またグリア細胞は,オリゴデンドログリアやアストログリアに分類される。さらに,脳内に存在する細胞は,細胞種類における多様性ばかりでなく,細胞形態でも他の組織には見られない特徴を持っている。たとえば大形のニューロンでは,突起部分の細胞質は細胞体よりもはるかに大きく,形質膜含量は細胞体に10%突起部分に90%という場合もあり得る。したがって形質膜の単離は,核周部,軸索,樹状突起およびシナプス部に分けて行われている。なかでももっとも良く研究されているのが神経伝達に関係したシナプス部の形質膜である。図1に代表的な形質膜単離法を示すが,その基本は肝などの組織からの単離法と変らない1-3)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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