icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学36巻4号

1985年08月発行

文献概要

特集 神経科学実験マニュアル ニューロンの染色・標識法

HRP注入

著者: 吉田薫1

所属機関: 1筑波大学基礎医学系

ページ範囲:P.371 - P.373

文献購入ページに移動
 ■ 細胞内染色法とHRP1-3)
 神経細胞にガラス微小電極を刺入して電気生理学的性質を調べ,同時に標識物質を注入して形態学的特徴を観察する細胞内染色法は,単一細胞レベルで機能と形態の対応関係を明らかにし得る有力な方法である。とくにHRP(horseradish peroxidase)による細胞内染色法は,従来の螢光色素やコバルトを使う方法と比較して優れた特徴を持ち,生理学・解剖学の分野でもっともポピュラーな手法となりつつある。
 HRP法の長所として以下の点が挙げられる。注入されたHRPは細胞内で速やかに拡散して樹状突起の細部まで明瞭に染め出すことができる。染色距離は注入部から最大20〜30mm程度であるが,軸索に直接注入すれば側枝や終末部を調べることも可能である。HRPの発色処理による反応生成物は螢光色素と較べ遙かに安定で,通常の光学顕微鏡で長時間観察してもほとんど退色しない。さらにHRP反応生成物は電子密度が高く,細胞内微細構造を損なうことが少ないため,電子顕微鏡による形態解析にも適している。またHRPを含む電極は螢光色素電極と較べて電気抵抗が低く,細胞内記録の点でも有利である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら