文献詳細
特集 神経科学実験マニュアル
ニューロンの染色・標識法
文献概要
1950年にNautaが変性した神経線維を追跡する方法として変性軸索を選択的に染色する方法を発表する以前は,中性脂肪染色,変性髄鞘を染めるMarchi法,変性軸索を染めるGlees法などが用いられていた。その後,Nauta法はいろいろの動物に,そして各種の線維系に適するように,また終末部まで染めだせるようにという意図をもって種々の変法が考案された。たとえば,Nauta-Gygax法(1954)1),Nauta-Laidlaw法(1957)2),Albrecht法(1959)3),Fink-Heimer法(1967)4),Ebbesson-Rubinson法(1969)5),de-Olmos法(1969)6),Eager法(1970)7),Desclin-Escubi法(1975)8)などである。多種多様な変法のなかでどの方法を用いたらよいのかが問題となる。筆者の経験では,Nauta-Laidlaw法のアンモニア性炭酸銀液の調製は微妙であった。比較的安定して良好な結果が得られたのはNauta-Gygax法とFink-Heimer法であった。de-Olmos法を用いた経験はないが,正常線維の鍍銀性をおさえ,変性した線維を終末部まで染色するよい方法と思われる。各変法とも捨てがたい面を持っているが,ここではNauta-Gygax法,Fink-Heimer法,de-Olmos法について述べたい。
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