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文献詳細

雑誌文献

生体の科学36巻4号

1985年08月発行

文献概要

特集 神経科学実験マニュアル ニューロンの染色・標識法

細胞内遊離カルシウムの螢光プローブによる測定法

著者: 工藤佳久1

所属機関: 1三菱化成生命科学研究所脳神経薬理学研究室

ページ範囲:P.380 - P.383

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 ■ 概要
 細胞内の遊離Ca量は10−8〜10−7Mに保持されており,細胞運動など多くの細胞機能が細胞内Caの増減によって調節されている。神経系においても神経伝達物質遊離が細胞内Caの一過性の上昇が引き金になって生じていることはよく知られた事実である。また,シナプス後膜の内側にもCaを介した受容器感受性調節機構の存在が示唆されており,この系にはCa依存性酵素が関与しているものと考えられている。m秒オーダーで計測される早い電気現象の後に生ずる細胞下の様々な系の変化が,もっと長い時間経過の神経系の機能にどのような形で反映されるのかを解明することは神経科学の重要なテーマの一つと考えられる。細胞内Caの上昇はまさにその引き金であり,real timeでその動向を捕えたいという要望は非常に高まってきている。一般的な細胞内遊離Ca量の測定法については詳しい総説1)を参考にしていただくこととし,ここでは螢光プローブ法について述べる。1970年以降,aequorinやarzenazo Ⅲが細胞内Caの重要な指示薬として応用されている。しかし,これらの試薬については細胞内への微量注入操作が必要であって,応用できる細胞の大きさに制限がある。Tsien(1980)2)が開発したquin 2はそのacetoxymethyl ester誘導体,quin 2/AM3)(図1)を用いれば,細胞に機械的損傷を加えることなく負荷できる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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