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特集 神経科学実験マニュアル 電気生理学実験手技
イオン電極
著者: 岡田泰伸1 老木成稔2
所属機関: 1京都大学医学部生理学教室 2京都大学医学部麻酔科学教室
ページ範囲:P.401 - P.403
文献購入ページに移動細胞の電気的活動性は主として膜のイオン透過によってもたらされ,その駆動力は当該イオンの細胞内外における電気化学的勾配である。したがって,細胞内遊離イオン濃度(より正しくは活量)の測定は重要である。その測定によって,①そのイオンに対する平衡電位を直接的に得ることができる。これにより,各種膜応答・活動電位のイオン機構を求める上で不可欠の情報が与えられる。②また,平衡電位と膜電位の比較によって当該イオンの輸送が受動的か能動的かの判定も可能となる。③もし当該イオンの細胞内含量が化学的測定などによってわかっている場合には,そのイオンの非遊離(結合またはsequestration)の程度を見積ることができる。④また,膜におけるイオン輸送のみが細胞内イオン濃度変化をもたらす場合,その測定によりイオン・フラックスを求めることができ,constant field式から膜のイオン透過性や伝導度を計算することができる。
細胞内イオン活量の測定には,先端1μm前後のイオン選択性微小電極(以後イオン電極と呼ぶ)が用いられなければならない。現在使用されているものとしては,イオン選択性ガラスを用いたrecessed-tip型電極と,イオン選択性液体交換剤(LIX)を先端につめた電極の二種がある1)。
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