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特集 神経科学実験マニュアル 電気生理学実験手技
インパルス・PSP相関法
著者: 内野善生1
所属機関: 1杏林大学医学部第一生理学教室
ページ範囲:P.426 - P.428
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インパルス・PSP相関法(Spike triggered averagingtechnique)は脊髄神経機構の解析で初めて導入され1,2),その後中枢神経系とくに単シナプス性結合のある神経回路網の解析に応用されてきた。この方法を使用する目的の一つは単一ニューロンとその標的ニューロンとの間にあるであろうシナプス結合の直接的証拠を得るためである。あるAとB二つのニユーロン群の間のシナプス結合の有無を調べる場合,A核を刺激しB核の細胞から細胞内記録し,短潜時PSPを記録することで結合の有無を推定してきた。しかし神経核Aを刺激することは,A核内通過線維を同時に刺激することを意味し,A核群細胞とB核群細胞間のシナプス結合の有無を決定ずける実験とはなりにくいことがこの種の刺激実験の弱点とされてきた。強固な結論を得るためには,通過線維をあらかじめ変性破壊させ,A核を刺激するなどの補助手段を用いる必要がある。インパルス・PSP相関法はこの弱点を補う有力な実験手段であり,後述するがトリガニューロンと標的ニューロンとのシナプス結合部位,トリガニューロンの標的ニューロンに対する神経支配比なども明らかにすることができる。
インパルス・PSP相関法(Spike triggered averagingtechnique)は脊髄神経機構の解析で初めて導入され1,2),その後中枢神経系とくに単シナプス性結合のある神経回路網の解析に応用されてきた。この方法を使用する目的の一つは単一ニューロンとその標的ニューロンとの間にあるであろうシナプス結合の直接的証拠を得るためである。あるAとB二つのニユーロン群の間のシナプス結合の有無を調べる場合,A核を刺激しB核の細胞から細胞内記録し,短潜時PSPを記録することで結合の有無を推定してきた。しかし神経核Aを刺激することは,A核内通過線維を同時に刺激することを意味し,A核群細胞とB核群細胞間のシナプス結合の有無を決定ずける実験とはなりにくいことがこの種の刺激実験の弱点とされてきた。強固な結論を得るためには,通過線維をあらかじめ変性破壊させ,A核を刺激するなどの補助手段を用いる必要がある。インパルス・PSP相関法はこの弱点を補う有力な実験手段であり,後述するがトリガニューロンと標的ニューロンとのシナプス結合部位,トリガニューロンの標的ニューロンに対する神経支配比なども明らかにすることができる。
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