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特集 細胞分裂をめぐって
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生物のもっとも生物らしい特徴のひとつはその自己複製能にある。遺伝物質をS期で複製したあと細胞はM期に進み,そこで同一の二個体を複製する。その整然とした秩序ある事の進行は,単一の受精卵から完全な一個体形成に至るが,無秩序に起こると癌ができ死に至ってしまう。増殖能力に差がある細胞のあいだでは,しばしば微小管を含む細胞骨格の様態に違いがみられる。細胞内における微小管の存在様式は微小管形成中心構造体(MTOCs:microtubule-organizing centers)1)で調節されているので2),細胞増殖をコントロールするメカニズムの中にMTOCが組み込まれている可能性は十分考えられる。したがって当稿においては,従来よく知られている細胞分裂時におけるMTOCの役割だけでなく,間期をも含んだ広い視野から眺めた細胞周期調節因子としてのMTOCの可能性を論じてみたい。
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