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文献詳細

雑誌文献

生体の科学36巻5号

1985年10月発行

文献概要

特集 細胞分裂をめぐって

細胞周期における動原体の分布

著者: 諸井泰興1

所属機関: 1東京大学医学部物療内科

ページ範囲:P.471 - P.474

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 動原体(セントロメア,キネトコア)は,細胞分裂期の染色体上に局在する微細構造で,動原体糸(紡錘体微小管)の形成開始に重要な役割をはたすと考えられている。この部位から動原体糸が紡錘体の極へ伸び,分裂後期にはこの部位が両極へひきよせられて染色体の分離が進行する。染色体上の動原体の分布や構造については,これまで多くの研究の集積があり,電顕学的に三層構造が証明されている1-3)。動原体の化学的組成については,チュブリン4),RNP2),DNA3)などの関与が推測されているが,その詳細は長らく不明であった。細胞周期との関係では,植物細胞での分裂間期における動原体の状態についての研究が進み5-7),核膜との密接な関連などが報告されたが,動物細胞での研究は,動原体の特異的な証明方法を欠く点が障壁となって解明に大きな進展が見られなかった。
 多くのリウマチ性疾患では,患者血中に種々の細胞成分に対する自己抗体が検出され,とくに核成分に対する抗体である抗核抗体は,対応抗原に対する特異性と疾患との密接な関連が注目されてきた。近年この多彩な抗核抗体が細胞学分野での抗原同定の有力な手段として重要視されるようになった8)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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