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文献詳細

雑誌文献

生体の科学36巻5号

1985年10月発行

文献概要

特集 細胞分裂をめぐって

ウニ卵細胞質ダイニンとその分裂期における局在

著者: 久永真市123 田中建志4 竹村玲子5 広川信隆5

所属機関: 1東京大学理学部生物化学教室 2基礎生物学研究所細胞増殖部門 3(現)東京大学医学部解剖学教室 4埼玉県赤十字血液センター研究部 5東京大学医学部解剖学教室

ページ範囲:P.486 - P.492

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 染色体運動の分子的機構,とくにその力の発生の仕組みは微小管の関与した他の細胞運動(軸索流・色素顆粒の動きなど)とも関連し,現在,注目を集めている問題の一つである。微小管を基礎とした細胞運動としては,真核細胞の鞭毛・繊毛運動がもっともよく研究され,かつ,もっともよく理解されている1)。鞭毛・繊毛では,軸糸周辺微小管上に配列したダイニンと呼ばれるATP-aseが,隣の微小管との結合・解離を繰り返しながら,微小管同士の滑りをひきおこす。その滑りが屈曲へと変換され鞭毛・繊毛運動となるわけである。染色体運動についても,これまで,いくつかの仮説が提唱されてきたが,最近,鞭毛・繊毛運動と同様にダイニンがその原動力であるという説が有力になってきた2,3)(詳しくは「細胞分裂とダイニン」の章4)を参照)。本編では,筆者らがウニ卵に存在するダイニン(細胞質ダイニン)について調べた結果を基にして,細胞質ダイニンと染色体運動の関わりについて考察していく。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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