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リポソームの運動
著者: 宝谷紘一1
所属機関: 1京都大学理学部生物物理学教室
ページ範囲:P.523 - P.530
文献購入ページに移動 多くの生体脂質は水溶液中に懸濁すると脂質二重層膜を形成し,その膜は一重ないし多重の閉鎖小胞,すなわちリポソームとなる。その物理化学的性質については,生体膜のモデル系として多くの研究がなされてきた1-5)。有名な流動モザイクモデルもこれらの研究が基礎をなしている6)。最近では,リポソームは生体内のある特定の細胞に薬物を投与するためのマイクロカプセルとしての医学的応用の可能性が注目されている7-9)。しかしリポソームは単なる安定な袋状小胞ではなく,実は千変万化するきわめてダイナミックな構造であることが解った10,11)。本解説ではリポソームを生体膜器官の形態形成・形態変換などの動的な性質を調べるためのモデル系としてとらえ,そのダイナミックな姿をできるだけ視覚にうったえるようにして述べてみたい。
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