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文献詳細

雑誌文献

生体の科学36巻5号

1985年10月発行

文献概要

解説

リポソームの運動

著者: 宝谷紘一1

所属機関: 1京都大学理学部生物物理学教室

ページ範囲:P.523 - P.530

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 多くの生体脂質は水溶液中に懸濁すると脂質二重層膜を形成し,その膜は一重ないし多重の閉鎖小胞,すなわちリポソームとなる。その物理化学的性質については,生体膜のモデル系として多くの研究がなされてきた1-5)。有名な流動モザイクモデルもこれらの研究が基礎をなしている6)。最近では,リポソームは生体内のある特定の細胞に薬物を投与するためのマイクロカプセルとしての医学的応用の可能性が注目されている7-9)。しかしリポソームは単なる安定な袋状小胞ではなく,実は千変万化するきわめてダイナミックな構造であることが解った10,11)。本解説ではリポソームを生体膜器官の形態形成・形態変換などの動的な性質を調べるためのモデル系としてとらえ,そのダイナミックな姿をできるだけ視覚にうったえるようにして述べてみたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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