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連載講座 形態形成の分子生物学
神経系形成の新しいアプローチ
著者: 岡野栄之1 御子柴克彦
所属機関: 1大阪大学蛋白質研究所蛋白質機能制御部門
ページ範囲:P.608 - P.617
文献購入ページに移動 きわめて複雑な発生過程における形態形成の問題を,統一的原理に基づいて説明することは多くの研究者たちの夢であった。分化した細胞は,その細胞に特異的な遺伝子発現の結果として,それぞれ特異な形態・機能を有するようになる。遺伝子組換えの技術が台頭したばかりの頃は,継代化されたcell lineなどの画一化された細胞集団を用いた遺伝子の単離・発現調節の解析に重点がおかれていた感があったが,生体内においては,個々の細胞の形質発現は,その細胞の位置,細胞同士の相互作用の影響を強くうける。そのため,個々の細胞の遺伝子発現の諸問題も,多細胞体制の中で考えていくことが重要となる。しかもできるなら,個体発生の過程における細胞間相互作用・形質発現調節を解析していこうという傾向が強まってきており,キメラ動物,トランスジェニック・マウスなどの発生工学手法が注目されてきている。種々の細胞が集合した組織・器官における形態形成は,まさに細胞の移動を含めた細胞間相互作用の結果生ずるパターン形成であり,とくに最近では多細胞体制の形態形成の過程で,1.〜4.の以下のことが明らかとなってきている。
1.細胞に化学走性を示すような特定物質が存在する。
1.細胞に化学走性を示すような特定物質が存在する。
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