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特集 脳のモデル
大脳の情報原理とそのバイオコンピュータへの応用—ホロニックモデルの目指すところ
著者: 清水博1 山口陽子1
所属機関: 1東京大学薬学部製薬化学科
ページ範囲:P.26 - P.40
文献購入ページに移動 大脳は多数のニューロンからできた複雑なネットワークシステムである。この大脳の機能は三つの異なるレベルから総合的に研究しなければ解明できないというのが,わが国の伊藤正男教授と並んで小脳の研究で著名なDavid Marrの意見である1)。この三つのレベルとは,第一にモノとしての脳,すなわち,脳の構造あるいはニューロン間のトランスミッターなどのハード的仕掛けであり,第二にアルゴリズムの問題で,信号がニューロンのネットワークでどのような経路を通って次々と他のニューロンに伝わり,その興奮や抑制を引き起こしながら変化していくかという,いわば脳におけるシンボル(情報のキャリア)の生理的なレベルでの研究ともいえよう。第三に「計算理論」,すなわち認知心理学と密接に結びついたコトとしての脳の問題といっても良いかもしれない。それはどのような理論によって大脳が情報を処理しているかという脳のソフト的原理を問う問題である。
これまでは第一のモノとしてのレベルから第二,第三の順に研究を積み上げながら大脳の解明が進むものと期待されて来たけれど,それで果たして正しいだろうか?脳を直接観察すると,そこでは多くのニューロンの興奮を知ることができるが,しかしそれからどのような情報がどのように処理されているかを直接伺い知ることはできない。
これまでは第一のモノとしてのレベルから第二,第三の順に研究を積み上げながら大脳の解明が進むものと期待されて来たけれど,それで果たして正しいだろうか?脳を直接観察すると,そこでは多くのニューロンの興奮を知ることができるが,しかしそれからどのような情報がどのように処理されているかを直接伺い知ることはできない。
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