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文献詳細

雑誌文献

生体の科学37巻1号

1986年02月発行

文献概要

連載講座 形態形成の分子生物学

ヒトの脳の形態形成とその進化—コンピュータ・グラフィックスによる研究

著者: 藤田晢也1

所属機関: 1京都府立医科大学病理学教室

ページ範囲:P.55 - P.68

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 生物の形がどうしてできてくるのか,なぜ"そのような形"になるのか,という問題は多くのひとの興味を惹いてきたが,科学的な研究の対象とされることははなはだ少なかった。そのような研究は絶無ではないにしても,生物というシステムの中で形のもつ重要性に比べて著しく少ないことは事実であった。
 考えてみると,DNAが自己複製を行ったりRNAを介して情報を発現したりする過程はDNA分子の形に絶対的に依存している。DNAを修飾する蛋白分子やDNAと相互作用する分子はいずれも三次元的な形がDNAと完全にフィットすることが要求される。この方面の情報は最近の結晶解析技術の長足の進歩によってきわめて豊かになってきたのでコンピュータ・グラフィックスの描きだす三次元像を手がかりに私たちは具体的なイメージをもつことが可能になった。蛋白と蛋白の分子間の相互作用や,蛋白とその他の機能的分子の空間的な関係は,その結晶化が難しいようなので,核酸と比べて具体的なデータはまだ少ないものの,作用され作用する分子の間の形の適合性がどのように大きな意味をもつか,はっきりとわかる程度には提示されるようになった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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