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文献詳細

雑誌文献

生体の科学37巻3号

1986年06月発行

文献概要

特集 脳の化学的トポグラフィー

バソプレシンニューロン系

著者: 井端泰彦1 川上冨美郎2

所属機関: 1京都府立医科大学第二解剖学教室 2京都府立医科大学精神医学教室

ページ範囲:P.222 - P.226

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 バソプレシン(vasopressin)は視床下部に存在する種種の下垂体前葉ホルモン放出促進/抑制ホルモンなどの発見よりも20年位も以前に発見され構造決定がなされたペプチドである1)。その化学構造は9個のアミノ酸鎖をもち,そのうち1位と6位のアミノ酸の間にS-S結合が見られる(図1)。このS-S結合に親和性のあるアルデヒドチオニンなどの色素によりバソプレシンおよびオキシトシン(oxytocin,この構造もバソプレシンに類似する)は光学顕微鏡的に染色される。また,多くの哺乳動物においては8位にアルギニンを含むアルギニンバソプレシンである。最近,バソプレシンを含む巨大分子である前駆物質(プロホルモン)の構造が遺伝子工学の手法により明らかになり,それらはバソプレシン以外にニューロフィジンⅡ(neurophysinⅡ)と呼ばれる蛋白と糖蛋白が含まれており,それぞれがprocessingにより切り離される(図2)2)
 バソプレシンは従来,抗利尿ホルモンとして視床下部室傍核,視索上核の神経細胞で産生され,それらのニューロンの軸索中を下垂体後葉に運ばれ,神経終末より毛細血管中へ放出され腎臓の遠位尿細管や集合管に作用すると考えられていたが,その後,中枢神経系のいろいろの領域に分布することが明らかとなり,その生理的意義についても論じられている。以下脳内局在および生理的意義についてその概略を述べる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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