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友への手紙—米国神経科学会に参加して思うこと
著者: 塩井純一1
所属機関: 1
ページ範囲:P.246 - P.248
文献購入ページに移動 1985年10月20日から25日までテキサス州ダラスにて神経科学会(Society for Neuroscience)の第15回年会が開かれました。参加者数は約8千でカルフォルニア州アナハイムで開かれた前年('84年),マサチューセッツ州ボストンで開かれた前々年('83年)とあまり変化なく,ほぼ定常状態に達した模様です。しかし発表演題は実に5千余りで,他の学会に比べ発表数/参加者数の割合がきわめて高く,この分野の相変らずの隆盛ぶりを象徴しているように思われます。2年前,初めてこの学会に参加した時には,その多彩な(multidisciplinary)アプローチぶりに圧倒される想いでしたが(文献1),今回は生化学だけでなく電気生理学,遺伝子工学,解剖学・組織化学等々に対する私の理解度も少しは深まり,したがってそれだけ広く関心をもっていろいろ見聞できたように思いますが,どういうわけか理解度の上昇とは裏腹に衝撃度といいますか,印象度の方は年々弱まっていくようで,もう年のせいなのかと当惑しております。その私個人の感受性の減弱を割引かねばなりませんが,Kandel一派のアメフラシ(軟体動物の一種で神経細胞の数が少ないだけでなく細胞自体が大きい)を用いた壮麗な仕事(文献2と3参照)も一段落したのではないかというのが私の一番の印象です。
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