icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学37巻4号

1986年08月発行

文献概要

特集 細胞生物学実験マニュアル 細胞培養

無血清無蛋白完全合成培地における長期継代培養細胞の形態と機能—とくにそれらの細胞の蛋白合成ならびに分泌について

著者: 翠川修1 足達敏博1

所属機関: 1京都大学医学部病理学教室

ページ範囲:P.266 - P.270

文献購入ページに移動
 ■ 無血清培養法について
 組織培養法は生体組織から目的とする特定の細胞を試験管内で増殖させることを可能にし,一定の培養条件下で純粋に細胞の形態と機能とを研究する上できわめて有力な方法である。そしてこの組織培養の進歩は細胞生物学や医学の領域で非常に多くの成果をあげていることは今さら多言を要しないところである。
 普通の組織培養用培地としてはEagle's MEM,HamF12,Medium 199,RPMI 1640など,数多くの合成培地が工夫され,これらの合成培地はそれぞれ特有の特徴を有している。通常はこれらの培地にウシなどの血清を5〜20%添加する事により,試験管内において細胞の長期培養を可能とし,ヒトを含む動物組織から多数の培養細胞株が樹立されてきた。しかし培養細胞の代謝を調べたり,とくに培養細胞が産生する蛋白質の研究を進めるためには培地に混合する血清蛋白が大きな障害となることは当然である。したがってこの障害をのりこえるために培養液から血清成分を除去したいわゆる無血清培地,さらには蛋白,ペプチドなどをまったく添加しないいわゆる無血清無蛋白培地の開発が試みられてきた。血清中にはなお化学組成や機能が確定していない無数の蛋白質があり,種々のホルモンあるいは増殖因子なども存在している。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?