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文献詳細

雑誌文献

生体の科学37巻4号

1986年08月発行

文献概要

特集 細胞生物学実験マニュアル 細胞培養

テラトカルシノーマ幹細胞の培養と分化誘導

著者: 村松寿子1 村松喬1

所属機関: 1鹿児島大学医学部第二生化学教室

ページ範囲:P.273 - P.275

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 ■ 概要
 テラトカルシノーマの幹細胞(embryonal carcinoma細胞,略してEC細胞)は初期胚の多分化能を持つ細胞に類似し,細胞分化の初期段階の研究に適した材料である。EC細胞の代表的なクローンを表1に示す。その性質はクローンごとに少しずつ異なっているが1-5),とくに重要な違いはフィーダー依存性の有無と,分化能(方向と程度)にある。EC細胞のin vitro分化誘導法としては,レチノイン酸処理が一般的に用いられている。細胞の塊を作らせるのみで分化を誘導する手法もあるが,適用できるクローンは限定されている。なお,レチノイン酸処理による分化誘導の際にも,細胞塊を作らせるか否かで,分化の方向と程度が異なってくる。多方向への分化を誘導しようとすると細胞塊形成は必須のようである。細胞塊形成のためには,バクテリア培養用のシャーレに細胞を播き,細胞をシャーレに接着させず集合させる手法が一般的であるが,細胞を軽く遠心分離して接着させる手法2)もある。
 以下に,筆者らがF9細胞およびHM-1細胞を用いて行っている培養法と分化誘導法を記す。二つのクローンはともにフィーダー非依存性で,分化能が異なるにもかかわらず,同様に取り扱うことができる。唯一の違いはHM-1細胞の維持および分化誘導用の培養液が0.1mM2-メルカプトエタノールを含むことである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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